気体の分子運動論と理想気体の内部エネルギー

高校の物理学の復習です。

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気体の分子運動論

1738年、ベルヌイは著書『流体力学』で、気体の圧力は運動する気体分子が壁に衝突することで生じると説明した。1848年から1851年にかけて、ジュールは、気体の圧力から気体分子の速度を推定した。しかし、当時はまだ分子の存在が確認されておらず、どちらの理論も注目されなかった。

気体の圧力

1辺の長さが\(L\)の立方体の中の気体を考える。ある1個の気体分子が\(x\)軸方向に速さ\(v_x\)で動くとき、\(x\)軸に垂直な立方体の壁をスタートし、反対側の壁で跳ね返って元の壁に戻る時間\(\Delta t\)は、

$$\Delta t=\frac{2L}{v_x}$$

となる。また、気体分子が壁に作用する力積は、運動方程式の両辺を力に作用する時間で積分した値で、運動量の変化に等しいので、作用時間を\(\Delta t_s\)とすると、

$$\int_{\Delta t_s}Fdt=\int_{\Delta t_s}m\frac{dv_x}{dt}dt$$

より、

$$F\Delta t_s=mv_x-(-mv_x)=2mv_x$$

となる。したがって、壁が1個の気体分子から受ける時間平均の力は、

$$\bar{F}=F\frac{\Delta t_s}{\Delta t}=\frac{mv_x^2}{L}$$

となる。これを\(N\)個の気体分子で考える。気体分子の平均の速度が\(\bar{v}_x\)とすると、気体分子全体が作用する壁の圧力\(P\)は、壁の面積が\(L^2\)だから、

$$P=\frac{Nm\bar{v}_x^2}{L^3}$$

となる。更に、平均の速度は\(\bar{v}^2=\bar{v}_x^2+\bar{v}_y^2+\bar{v}_z^2\)および\(\bar{v}_x=\bar{v}_y=\bar{v}_z\)より\(\bar{v}^2=3\bar{v}_x^2\)となり、また、立法体の体積は\(V=L^3\)であるから、

$$P=\frac{Nm\bar{v}^2}{3V}$$

となる。逆に考えると、\(Nm\)は気体の全質量だから、気体の質量、体積、圧力の3つのマクロな量がわかると、気体分子の速度が推定できる。

理想気体の内部エネルギー

先程求めた気体の圧力の式と、理想気体の状態方程式\(PV=nRT\)を比較すると、

$$\frac{Nm\bar{v}^2}{3}=nRT$$

となる。アボガドロ数\(nN_A=N\)、ボルツマン定数\(k_B=R/N_A\)を用いると、

$$\frac{1}{2}m\bar{v}^2=\frac{3}{2}k_B T$$

となり、気体分子1個の平均エネルギーが求まる。したがって、気体全体の内部エネルギー\(U\)は、

$$\boxed{U=\frac{3}{2}Nk_B T=\frac{3}{2}nR T}$$

となる。

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“気体の分子運動論と理想気体の内部エネルギー” への1件の返信

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