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一様性
経験的にいつでもどこでも物理法則は変わらない。これを時間と空間が一様と言う。
対称性
対称性は、ある連続的な微小変換をしても物理法則に変化が無いことを言う。 例えば、物理法則は、時間の一様性より、時間変換の対称性がある。これを時間対象性と言う。また、空間の一様性より、位置変換の対称性がある。これを並進対象性と言う。同様に、どこから見ても物理法則は変わらないので、回転変換の対称性がある。これを回転対象性と言う。
ネーターの定理
1918年、ドイツの女性数学者エミー・ネーターが「物理法則に対称性がある場合、それに対応した保存則が存在する」と発表した。これをネーターの定理と言う。結論から言えば、時間対称性からはエネルギー保存則が、並進対称性からは運動量保存則が、回転対称性からは角運動量保存則が導かれる。
ネーターの定理の導出
運動量保存則
並進対称性がある時、位置だけを変化(時間は固定)させてもラグランジアンは変化しない。ラグランジアンに任意の位置の変換を行うと\(\delta L=0\)となる。一般化座標ではなく位置ベクトル\(r\)で書くと、
$$\begin{eqnarray}
\delta L&=&\sum_i^n \left(\frac{\partial L}{\partial r_i}\delta r_i+\frac{\partial L}{\partial \dot{r}_i}\delta \dot{r}_i\right)\\
&=&0
\end{eqnarray}$$
となる。ここで、ラグランジュ方程式
$$\frac{\partial L}{\partial q_i}-\frac{d}{dt}\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i}=0$$
を第1項に代入すると
$$\begin{eqnarray}
\delta L&=&\sum_i^n \left\{\left(\frac{d}{dt}\frac{\partial L}{\partial \dot{r}_i}\right)\delta r_i+\frac{\partial L}{\partial \dot{r}_i}\delta \dot{r}_i\right\}\\
&=&\sum_i^n \frac{d}{dt}\left(\frac{\partial L}{\partial \dot{r}_i}\delta r_i\right)\\
&=&\sum_i^n \frac{d}{dt}(p_i\cdot
\delta r_i)\\
&=&0
\end{eqnarray}$$
となる。\(\delta r\)は時間に寄らない任意の定数なので、運動量\(p\)が時間によって変化しない保存量であることがわかる。
角運動量保存則
回転対称性がある時、向きだけを変化(時間は固定)させてもラグランジアンは変化しない。ラグランジアンに任意の回転の変換を行うと\(\delta L=0\)となる。一般化座標ではなく位置ベクトル\(r\)で書き、回転を回転面に垂直方向のベクトル\(\delta\theta\)で表すと、
$$\delta r=\delta \theta\times r$$
となる。先程の計算によると、並進対称性の結果は、
$$\sum_i^n \frac{d}{dt}(p_i\cdot
\delta r_i)=0$$
であるから、
\begin{eqnarray}
\sum_i^n \frac{d}{dt}(p_i\cdot
\delta r_i)&=&\sum_i^n \frac{d}{dt}(p_i\cdot
\delta \theta\times r_i)\\
&=&\sum_i^n \frac{d}{dt}(\delta \theta\cdot
r_i\times p_i)(スカラー三重積の公式a\cdot(b\times c)=b\cdot(c\times a)より)\\
&=&0
\end{eqnarray}
となる。\(\delta \theta\)は時間に寄らない任意の定数なので、角運動量\(r\times p\)が時間によって変化しない保存量であることがわかる。
エネルギー保存則
時間対称性がある時、時間だけを変えてもラグランジアンの式は変化しないが、ラグランジアンに任意の時間変換を行うと、物体の運動によって、時間と共にラグランジアンの値も変化してしまう。(\(\delta t\)の変換で\(\delta L=0\)とはならない)このことは、ラグランジアンの変数が、\(L(t)\)のように陽に時間を含むことはないが、\(L(q_i(t),\dot{q_i}(t))\)のように陰に時間を含むため、時間を変化させると\(q_i\)も変化することに対応する。ラグランジアンを時間で全微分すると、
$$\begin{eqnarray}
\frac{dL}{dt}&=&\sum_i^n \left(\frac{\partial L}{\partial q_i}\frac{d q_i}{dt}+\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i}\frac{d\dot{q}_i}{dt} \right)\\
&=&\sum_i^n \left(\frac{\partial L}{\partial q_i}\dot{q}_i+\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i} \ddot{q}_i\right)
\end{eqnarray}$$
となる。ここで、ラグランジュ方程式
$$\frac{\partial L}{\partial q_i}-\frac{d}{dt}\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i}=0$$
を第1項に代入すると
$$\begin{eqnarray}
\frac{dL}{dt}&=&\sum_i^n \left\{\left(\frac{d}{dt}\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i}\right)\dot{q}_i+\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i}\ddot{q}_i\right\}\\
&=&\sum_i^n \frac{d}{dt}\left(\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i}\dot{q}_i\right)
\end{eqnarray}$$
となるので、
$$\frac{d}{dt}\left(\sum_i^n\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i}\dot{q}_i-L\right)=0$$
となり、()内が時間によって変化しない保存量であることがわかる。保存量は、運動量の関係式とルジャンドル変換より、
\begin{eqnarray}
\frac{\partial L}{\partial \dot{q}}\dot{q}-L&=&p\dot{q}-L\\
&=&H
\end{eqnarray}
となり、保存量がエネルギーであることがわかる。
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