摂動計算に便利な相互作用描像(もしくはディラック描像と言う)を考えます。
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シュレディンガー描像とハイゼンベルグ描像のおさらい
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時刻
もしくは、演算子が変化するハイゼンベルク描像(添字
で表すことができ、どちらも結果は同じだから、
となる。相互作用をしない場合は、ハミルトニアンが時間に依らないのでそのまま時間発展の式が計算できるが、相互作用をする場合は、ハミルトニアンが時間で変化してしまうので時間発展の式の計算ができない。
相互作用描像の導入
まず、ハミルトニアンを相互作用を含まない項
相互作用描像(添字
となり、相互作用描像とハイゼンベルグ描像の関係は、
となる。次に、定義した相互作用描像の演算子を使って相互作用描像とシュレディンガー描像の関係を考える。演算子の期待値は描像に依らないので、相互作用描像の状態
となる。したがって、シュレディンガー描像と相互作用描像の関係式は、
となり、相互作用描像での状態ベクトルは、
となる。2つ前の式の両辺に
となる。先ほどの相互作用描像の演算子の定義より、
となり、ちょうど
以上より、相互作用描像は、演算子(基底ベクトル)がハイゼンベルク描像のように
基底ベクトルの時間発展
基底ベクトルを
となるが、シュレディンガー描像では基底ベクトルは時間発展せず、時刻
となる。自由粒子の生成・消滅演算子が時刻
以下、生成消滅演算子を使った基底ベクトルの時間発展を3通りで書いておく。もちろん、どれも同じ結果となる。
ちなみに最後の2式から、
となるが、キャンベル・ベーカー・ハウスドルフの公式として知られている。
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