伝搬関数(プロパゲーター)

伝搬関数がなぜ「2つの場の時間順序積の真空期待値」で定義されるのかを考えます。

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伝搬関数とは

伝搬関数(もしくはプロパゲーター)とは、位置と時間が特定されたある時空点で観測されたスカラー場の自由粒子が、別の時空点で観測される時の確率振幅を表す関数のことを言う。

伝搬関数の導入

フォック空間で考える。最初に観測された時空点(始状態)の基底|iと状態ベクトル|Ψは、|i=|Ψであり、時間発展した後、最終的に観測された時空点(終状態)の基底|fと状態ベクトルの内積f|Ψが求めたい確率振幅(伝搬関数)となる。

以下、ハイゼンベルグ描像で考える。確率振幅は、

f(tf)|Ψ(tf)=f(tf)|Ψ(ti)=f(tf)|i(ti)

となる。始状態と終状態は、時空点が確定しているのだから、量子力学で考えると運動量が異なる無限個の波動関数の重ね合わせとなる。場の量子論では無限個の粒子のことだから、後の計算を考えて規格化定数をとり、確率振幅を考えると、

f(tf)|i(ti)=d3k(2π)32d3k(2π)3212ωk12ωk0|ak(xf)ak(xi)|0=d3k(2π)32d3k(2π)3212ωk12ωk0|(ak(xf)ak(xi)+ak(xf)ak(xi)+ak(xf)ak(xi)+ak(xf)ak(xi))|00|a=a|0=03=d3k(2π)32d3k(2π)3212ωk12ωk0|(ak(xf)+ak(xf))(ak(xi)+ak(xi))|0=0|(d3k(2π)3212ωk[ak(0)eikxf+ak(0)eikxf])(d3k(2π)3212ωk[ak(0)eikxi+ak(0)eikxi])|0=0|ϕ(xf)ϕ(xi)|0

となる。最後に時空点を任意の変数とし、どの時空点をとっても始状態と終状態の順番が変わらないように時間順序積を導入する。確率振幅を伝搬関数ΔFとすると、

ΔF=0|T(ϕ(x)ϕ(x))|0

となる。

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