テイラー展開

平均値の定理から、出来るだけ簡単にマクローリン展開とテイラー展開を求めます。

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平均値の定理

微分可能な関数\(y=f(x)\)を考える。点\((a,f(a))\)と点\((a+h,f(a+h))\)の2点を結ぶ直線を2点間の平均の傾きとする。この時、\((a\lt x \lt a+h)\)の区間に2点間の平均の傾きと同じ傾きの接線を持つ点が、必ず1つは存在することを平均値の定理と言い、接線を持つ点を\((b,f(b))\)とすると、

$$\boxed{\frac{f(a+h)-f(a)}{h}=f'(b)}$$

となる。

マクローリン展開

平均値の定理で、\(a\)を0、\(h\)を\(x\)、\(b\)を\(\theta_1 x\)とすると、

$$\frac{f(x)-f(0)}{x}=f'(\theta_1 x)$$

となり、移項すると、

$$f(x)=f(0)+f'(\theta_1 x)x(0\lt \theta_1 \lt 1)$$

となる。関数\(f(x)\)を\(x\)の1次式で表しているが、\(\theta_1\)の値は定まっていない。これは\(f(x)\)を表すのに、点\((0,f(0))\)から点\((x,f(x))\)までの直線の傾きに\(x\)を掛けて\(f(0)\)に足しているが、平均値の定理を元にしているため、直線の傾きを表す点が定まっていないことに由来する。同様に\(f'(x)\)も同じ区間で微分可能だとすると、

$$f'(x)=f'(0)+f^{\prime\prime}(\theta_2 x)x(0\lt \theta_2 \lt 1)$$

となる。変数を\(x\)から\(\theta_1 x\)に変えて、先程の式に代入すると、

\begin{eqnarray}
f(x)&=&f(0)+\{f'(0)+f^{\prime\prime}(\theta_2\theta_1 x)\theta_1 x\}x\\
&=&f(0)+f'(0)x+f^{\prime\prime}(\theta_2\theta_1 x)\theta_1 x^2
\end{eqnarray}

となる。同様に2階微分は、

$$f^{\prime\prime}(x)=f^{\prime\prime}(0)+f^{\prime\prime\prime}(\theta_3 x)x(0\lt \theta_3 \lt 1)$$

となり、変数を\(\theta_2\theta_1 x\)に変えて代入すると

$$f(x)=f(0)+f'(0)x+f^{\prime\prime}(0)\theta_1 x^2+f^{\prime\prime\prime}(\theta_3\theta_2\theta_1 x)\theta_2\theta_1^2 x^3$$

となる。更に続けていくと、

$$f(x)=f(0)+f'(0)x+f^{\prime\prime}(0)\theta_1 x^2+f^{\prime\prime\prime}(0)\theta_2\theta_1^2 x^3+\cdots+f^{(n)}(\theta_n\cdots\theta_2\theta_1 x)\theta_{n-1}\cdots\theta_2^{n-2}\theta_1^{n-1} x^n$$

となる。\(\theta_{n-1}\cdots\theta_2^{n-2}\theta_1^{n-1}\)は定数なので、各項の定数部分を\(c_n\)に置き換え、\(\theta_n\cdots\theta_2\theta_1\)を\(\theta\)(\(0 \lt \theta \lt 1\))とすると、

$$f(x)=f(0)+f'(0)x+f^{\prime\prime}(0)c_2 x^2+f^{\prime\prime\prime}(0)c_3 x^3+\cdots+f^{(n)}(\theta x)c_n x^n$$

となる。ここで両辺を2回微分すると、

$$f^{\prime\prime}(x)=2f^{\prime\prime}(0)c_2+\cdots$$

となり、\(x=0\)のときを考えると、

$$c_2=\frac{1}{2}$$

となる。続けて3回微分、4回微分を行うと、それぞれ定数部分が求まり、

$$f(x)=f(0)+f'(0)x+\frac{f^{\prime\prime}(0)}{2!}x^2+\frac{f^{\prime\prime\prime}(0)}{3!}x^3+\cdots+\frac{f^{(n)}(\theta x)}{n!}x^n$$

となる。最後に\(n\)が\(\infty\)のとき、\(\theta=\theta_n\cdots\theta_2\theta_1\)は0になるので、

$$\boxed{f(x)=\sum_{n=0}^\infty\frac{f^{(n)}(0)}{n!}x^n}$$

となる。この級数をマクローリン級数、この級数を得ることをマクローリン展開という。

テイラー展開

平均値の定理で、\(a\)を\(a\)のまま、\(h\)を\(x-a\)、\(b\)を\(a+\theta_1 (x-a)\)とすると、

$$f(x)=f(a)+f'(a+\theta_1 (x-a))(x-a)(0\lt \theta_1 \lt 1)$$

となる。対応を見て、マクローリン展開の\(x\)を\(x-a\)にすると、

$$f(x)=f(a)+f'(a)(x-a)+\frac{f^{\prime\prime}(a)}{2!}(x-a)^2+\frac{f^{\prime\prime\prime}(a)}{3!}(x-a)^3+\cdots+\frac{f^{(n)}(a+\theta(x-a))}{n!}(x-a)^n$$

となるので、\(n\)が\(\infty\)のとき、

$$\boxed{f(x)=\sum_{n=0}^\infty\frac{f^{(n)}(a)}{n!}(x-a)^n}$$

となる。この級数をテイラー級数、この級数を得ることをテイラー展開という。逆に言えば、テイラー展開の\(a=0\)の特別な場合が、マクローリン展開となっている。後述の具体例のとおり、マクローリン展開の方が応用が広い。テイラー展開の最後の項は、ラングランジュの剰余項\(R_n\)と言い、

$$R_n=\frac{f^{(n)}(a+\theta(x-a))}{n!}(x-a)^n$$

と表す。

マクローリン展開の具体例

\begin{eqnarray}
\frac{1}{1-x}&=&1+x+x^2+x^3+\cdots+x^n+\cdots(但し|x|\lt 1)\\
\frac{1}{1+x}&=&1-x+x^2-x^3+\cdots+(-1)^n x^n+\cdots(但し|x|\lt 1)\\
e^x&=&1+x+\frac{x^2}{2!}+\frac{x^3}{3!}+\cdots+\frac{x^n}{n!}+\cdots\\
\sin x&=&x-\frac{x^3}{3!}+\frac{x^5}{5!}-\frac{x^7}{7!}+\cdots\\
\cos x&=&1-\frac{x^2}{2!}+\frac{x^4}{4!}-\frac{x^6}{6!}+\cdots
\end{eqnarray}

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