電子のスピンは、量子力学の授業の後半に学びますが、実際は1923年のド・ブロイの物質波や1926年のシュレディンガー方程式が発見されるよりも前、量子力学のかなり初期の段階で発見されています。
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歴史
D線
1814年にフラウンホーファー(Fraunhofer)は、太陽光の連続スペクトルの中に700以上の暗線(フラウンホーファー線)を観測し、特に強い暗線8本にA〜Hの名前を付けた。一方、ナトリウム を燃やした時に出る光は、二重線のスペクトルで、D番目の線と同じ波長であった。気体は放出する光と同じ波長の光を吸収するため、太陽光のD番目の暗線は、太陽の大気のナトリウムが固有の波長の光を吸収していると考えた。
正常ゼーマン効果
1896年にゼーマン(Zeeman)は、ナトリウムが磁場中で発光すると、二重線のD線が、更に数本のスペクトルに分裂することを発見した。当時、原子の構造はわかっていなかったが、磁場をかけると分裂するので、電荷を持った粒子が公転し、磁気モーメントを発生していると考えた。(正常ゼーマン効果)粒子の公転の他、粒子の電荷が負であることが示され、その比電荷を計算すると、同時期にJ.J.トムソンが測定した電子の比電荷とほぼ一致した。1902年にゼーマンと理論を一緒に構築したローレンツはノーベル賞を受賞した。
異常ゼーマン効果
磁場中で分裂するスペクトルは、よく見ると更にいくつかの接近した線にわかれており、電子の公転による磁気モーメントだけでは説明出来ないことがわかった。(異常ゼーマン効果)1919年にゾンマーフェルト(Sommerfeld)とランデ(Lande)は、電子の公転とあわせて、原子核の自転による磁気モーメントを考え、1925年にウーレンベック(Uhlenbeck)とゴーズミット(Goudsmit)が自転の効果は、原子核ではなく電子の自転によるものとしてスピンを発表した。
スピンの固有値
角運動量演算子からスピンの演算子
なので、
であるから、固有値も3つになってしまう。そこで、スピンの場合は整数であることを諦め、半整数1/2を導入し、
となる。方位量子数
スピンの固有関数
スピンを含めた電子の波動関数を考えると、スピンは新たな自由度として認識されるため、
と変数毎の積の形で表せる筈である。2つしか固有値を持たないので、スピンの固有関数は、
のように書くことができる。また、
となる。
スピンの演算子
スピンの演算子
となる。実際に固有値を求めてみると
となる。
であったので、スピンの昇降演算子
となるから、
となる。昇降演算子の定義
を逆に解いて、先程求めた
となる。
パウリ行列
パウリ行列
と定義される。したがって、
となる。
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