場の解析力学


場の解析力学は、結局は、場各点の運動の解析力学のイメージです。

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はじめに

場の解析力学は、場の量子論とあわせて学ぶことが多いが、古典力学の波の運動など、さまざまな場に適用できる。(場の量子論と混同しないように注意する)

場の解析力学

ラグランジアン密度

場の全体のラグランジアン\(L\)に対する場の各点のラグランジアン密度\(\mathscr{L}\)を
$$\fbox{\(L=\int d^3\boldsymbol{x} \mathscr{L}\)}$$
で定義する。ラグランジアンの変数は\(L(\phi,\dot{\phi})\)と表せるので、その被積分関数であるラグランジアン密度の変数は
$$\mathscr{L}(\phi,\dot{\phi},\nabla \phi)=\mathscr{L}(\phi,\partial_\mu\phi)$$
と表せる。尚、場の理論では、ラグランジアン密度を単にラグランジアンと呼ぶことも多い。

最小作用の原理

最小作用の原理は
$$\delta S=\delta\int dt L=\fbox{\(\delta\int d^4x\mathscr{L}(\phi,\partial_\mu\phi)=0\)}$$
となる。時間と空間が同等で、古典論のほか、相対論にも対応した形となっている。

場のラグランジュ方程式

最小作用の原理より
$$\delta S=\int d^4 x\left\{\frac{\partial\mathscr{L}}{\partial\phi}\delta\phi+\frac{\partial\mathscr{L}}{\partial(\partial_\mu\phi)}\delta(\partial_\mu\phi)\right\}=\int d^4 x\left\{\frac{\partial\mathscr{L}}{\partial\phi}\delta\phi+\frac{\partial\mathscr{L}}{\partial(\partial_\mu\phi)}\partial_\mu(\delta\phi)\right\}$$
となる。第2項を部分積分すると、
$$\int d^4 x \frac{\partial\mathscr{L}}{\partial(\partial_\mu\phi)}\partial_\mu(\delta\phi)=\left[\frac{\partial\mathscr{L}}{\partial(\partial_\mu \phi)}\delta\phi\right]_{x_A}^{x_B}-\int d^4 x \partial_\mu\frac{\partial\mathscr{L}}{\partial(\partial_\mu \phi)}\delta\phi$$
となり、\(\delta\phi(x_A)=\delta\phi(x_B)=0\)であるから、第1項は\(0\)になる。したがって元の式は、
$$\delta S=\int d^4 x\left\{\frac{\partial\mathscr{L}}{\partial\phi}-\partial_\mu\frac{\partial\mathscr{L}}{\partial(\partial_\mu \phi)}\right\}\delta\phi=0$$
であるから、場のラグランジュ方程式は、
$$\fbox{\(\frac{\partial\mathscr{L}}{\partial\phi}-\partial_\mu\frac{\partial\mathscr{L}}{\partial(\partial_\mu \phi)}=0\)}$$
となる。

場の運動量(\(\phi\)に正準共役な運動量)

一般の解析力学と同様に、場の運動量\(\pi\)を
$$\fbox{\(\pi=\frac{\partial\mathscr{L}(\phi,\dot{\phi},\nabla \phi)}{\partial\dot{\phi}}\)}$$
で定義する。

ハミルトニアン密度

一般の解析力学と同様に、ハミルトニアン密度\(\mathscr{H}\)を
$$\dot{\phi}=\frac{\partial\mathscr{H}(\phi,\pi,\nabla \phi)}{\partial\pi}$$
で定義する。ルジャンドル変換より、
$$\fbox{\(\mathscr{H}=\pi\dot{\phi}-\mathscr{L}\)}$$
となる。場の全体のハミルトニアン\(H\)との関係は、
$$\fbox{\(H=\int d^3\boldsymbol{x} \mathscr{H}\)}$$
となる。尚、場の理論では、ハミルトニアン密度を単にハミルトニアンと呼ぶことも多い。

計算例~古典的な波の運動

古典的な波の運動を使って、実際に、ラグランジュ方程式、場の運動量、ハミルトニアン密度を計算してみる。この時、各式に代入すべき、古典的な波の運動のラグランジアン密度は、各点の運動エネルギーと位置エネルギーから
$$\mathscr{L}=\frac{1}{2}\rho\left(\frac{\partial\phi}{\partial t}\right)^2-\frac{1}{2}T\left(\frac{\partial\phi}{\partial x}\right)^2$$
となる。

ラグランジュ方程式

ラグランジュ密度を場のラグランジュ方程式に代入すると、
$$\frac{\partial\mathscr{L}}{\partial\phi}-\partial_t\frac{\partial\mathscr{L}}{\partial(\partial_t \phi)}-\partial_x\frac{\partial\mathscr{L}}{\partial(\partial_x \phi)}=0-\rho\frac{\partial^2 \phi}{\partial t^2}+T\frac{\partial^2 \phi}{\partial x^2}=0$$
となるから、
$$\rho\frac{\partial^2 \phi}{\partial t^2}=T\frac{\partial^2 \phi}{\partial x^2}$$
となり、場各点の運動方程式(波動方程式)が再現される。

場の運動量

ラグランジュ密度を場の運動量の定義式に代入すると、
$$\pi=\rho\frac{\partial\phi}{\partial t}$$
となり、場各点の運動量が再現される。

ハミルトニアン密度

ラグランジュ密度と場の運動量\(\pi\)をルジャンドル変換式に代入すると、
$$\mathscr{H}=\rho\frac{\partial\phi}{\partial t}\frac{\partial\phi}{\partial t}-\left\{\frac{1}{2}\rho\left(\frac{\partial\phi}{\partial t}\right)^2-\frac{1}{2}T\left(\frac{\partial\phi}{\partial x}\right)^2\right\}=\frac{1}{2}\rho\left(\frac{\partial\phi}{\partial t}\right)^2+\frac{1}{2}T\left(\frac{\partial\phi}{\partial x}\right)^2$$
となり、場各点のエネルギー(波のエネルギー密度)が再現される。

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