群論

群論の物理で出てくる用語のみをできるだけ簡単にまとめます。

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群論とは

群論は、対称性を考える数学の代数学の分野で、幾何学と関係が深い。

対称性

対称性は、対象の構造を保ったまま変換することを言う。例として、幾何学的な対称性の変換として、左右反転、並行移動、回転などがある。

変換の計算

続けて行う変換は積の形で書く。例えば、回転の変換の場合、10度回転する変換を\(a\)、20度回転する変換を\(b\)、30度回転する変換を\(c\)とすれば、\(ab=c\)となる。\(a\)の変換を2回繰り返す場合は\(a^2\)となる。

群は、同じ種類の変換を集めた集合を言う。例えば、並行移動の変換の場合、x方向に5足す変換、10足す変換、15足す変換は、すべて同じ群の元(集合の要素)となる。

群の定義

群は、次の4つの性質で定義される。

$$\boxed{
\begin{eqnarray}
ab&=&c\in G(群Gの2つの元の積は、またGの元となる)\\
(ab)c&=&a(bc)(結合則が成り立つ)\\
ae&=&ea=a(恒等変換eが存在する)\\
aa^{-1}&=&a^{-1}a=e(逆変換が存在する)
\end{eqnarray}
}$$

具体的には、自然数や実数による加法(足し算)は4つの性質を満たすので群と言えるが、乗法(掛け算)は自然数では逆変換が分数になってしまい、実数でも0の逆変換を定義できないため群とは言えない。したがって乗法で群を定義する場合は、実数で0を除く。

可換群(アーベル群)と非可換群

可換\(ab=ba\)である群を可換群(もしくはアーベル群)と言い、非可換\(ab\neq ba\)である群を非可換群(もしくは非アーベル群)と言う。

有限群と無限群

元の個数が有限の群を有限群、元の個数が無限の群を無限群と言う。また、有限群の元の個数を位数と言う。

群の表現

群の変換を線形空間の線形変換で考えることを群の表現と言い、元は正則行列となる。

リー群

リー群とは、群の構造をもつ微分可能多様体と定義される。ザックリ言えば、微分可能な連続的変換を元に持つ群で、例えば、回転の変換の群で、何度で回転しても良い場合は、元が連続なのでリー群となる。

リー群の表現の具体例

ユニタリー群

元がユニタリー行列で、ユニタリー変換を成す群をユニタリー群(Unitary group)と言い、U(n)と書く。特に、行列式が1のユニタリー行列を元とする場合を特殊ユニタリー群(Special Unitary group)と言い、SU(n)と書く。nは行列の次数。

回転群

元が回転行列で、回転の変換を成す群を回転群と言う。回転行列は、行列式が1の直交行列であるため、特殊直交群(Special Orthogonal group)とも言い、SO(n)と書く。nは行列の次数。

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