パイ中間子の光子の吸収

パイ中間子が光子を吸収するときの確率振幅を求めます。

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計算の準備

確率振幅の計算方法

確率振幅Afiの一次の摂動計算は、

Afi=id4xf(ti)|HI(x)|i(ti)

であるから、まずは相互作用項HIと始状態|i、終状態f|を考える。

ハミルトニアンの相互作用項

パイ中間子は複素スカラー場で表される。電磁場と相互作用する複素スカラー場のハミルトニアンは、

HI=ie{ϕμϕ(μϕ)ϕ}Aμ+e2AμAμϕϕ

となる。ここで微細構造定数α

α=e24π1137

を考えると、αは実験で無視できるぐらい小さいので、e2の項も無視できる。したがって、

HI=ie{ϕμϕ(μϕ)ϕ}Aμ

となる。ie{ϕμϕ(μϕ)ϕ}の部分は、確率のカレントi{ϕμϕ(μϕ)ϕ}と電荷eの積となっており、電荷の流れ(遷移電流)と考えることができる。遷移電流をjμとすると

HI=jμAμ

となる。

場の展開式と始状態・終状態

場の展開式は、

ϕ=d3p(2π)3212Ep(apeipx+bpeipx)Aμ=d3k(2π)3212ωkλ=1,2(ελ,kμαλ,keikx+ελ,kμαλ,keikx)

であるから、始状態と終状態は、

|i=apiαλi,ki|0f|=0|apf

となる。

代入

一次の摂動の確率振幅は、

Afi=idx4f|HI|i=id4x0|apfjμAμapiαλi,ki|0=id4x0|Aμαλi,ki|00|apfjμapi|0

となり、光子とパイ中間子が式の中で分かれる。

確率振幅の計算

光子

0|Aμαλi,ki|0の計算を考える。左から0|を掛けているので、Aμ内のαはすべて0になり、右からαλi,ki|0を掛けているので、αλi,kiと交換できるαのみ0になる。つまり、

0|Aμαλi,ki|0eikx=d3k(2π)3212ωkλ=1,2ελ,k,μ0|αλ,kαλi,ki|0eikx=d3k(2π)3212ωkλ=1,2ελ,k,μ0|{αλi,kiαλ,k+δ(kki,λλi)}|0eikx=d3k(2π)3212ωkλ=1,2ελ,k,μ0|δ(kki,λλi)|0eikx=1(2π)3212ωkiελi,ki,μ0|0eikx=1(2π)3212ωkiελi,ki,μeikx

となる。

パイ中間子

0|apfjμapi|0の計算を考える。jμは、

ie(ϕμϕ(μϕ)ϕ)=ie[{d3p(2π)3212Ep(apeipx+bpeipx)}{d3p(2π)3212Epipμ(apeipx+bpeipx)}{d3p(2π)3212Epipμ(apeipxbpeipx)}{d3p(2π)3212Ep(apeipx+bpeipx)}]=ied3pd3p(2π)312Ep2Ep{ipμ(apapei(pp)x+apbpei(p+p)xbpapei(pp)x+bpbpei(p+p)x)ipμ(apapei(pp)x+apbpei(p+p)xbpapei(pp)xbpbpei(p+p)x)}

となり、演算子のペアの項が8つある。左から0|apfを掛け、右からapi|0を掛けて、生成消滅演算子の交換関係と真空条件を使って項を減らすことを考える。1項目を計算してみると、

ied3pd3p(2π)312Ep2Epipμ0|apf(apap)api|0ei(pp)x=ed3pd3p(2π)312Ep2Eppμ0|{apapf+δ(ppf)}{apiap+δ(pip)}|0ei(pp)x=ed3pd3p(2π)312Ep2Eppμ0|δ(ppf)δ(pip)|0ei(pp)x=e1(2π)312Epf2Epipiμ0|0ei(pfpi)x=e1(2π)312Epf2Epipiμei(pfpi)x

となり、同様の計算で5項目は

ied3pd3p(2π)312Ep2Epipμ0|apf(apap)api|0ei(pp)x=e1(2π)312Epf2Epipfμei(pfpi)x

となる。2項目は

ied3pd3p(2π)312Ep2Epipμ0|apf(apbp)api|0ei(p+p)x=ed3pd3p(2π)312Ep2Eppμ0|{apapf+δ(ppf)}bpapi|0ei(p+p)x=ed3pd3p(2π)312Ep2Eppμ0|δ(ppf)bpapi|0ei(p+p)x=ed3p(2π)312Epf2Eppμ0|bpapi|0ei(pf+p)x=0

となり、同様の計算で3項目、6項目、7項目も0になる。4項目は、

ied3pd3p(2π)312Ep2Epipμ0|apf(bpbp)api|0ei(p+p)x=ed3pd3p(2π)312Ep2Eppμ0|apf{bpbp+δ(pp)}api|0ei(p+p)x=ed3pd3p(2π)312Ep2Eppμ{0|bpapfapibp|0+0|apfδ(pp)api|0}ei(p+p)x=ed3p(2π)312Epf2Eppμ0|apfapi|0=ed3p(2π)312Epf2Eppμ0|apiapf|0=0

となり、同様の計算で8項目も0になる。したがって、1項目と5項目だけが残るので、

0|apfjμapi|0=e1(2π)312Epf2Epi(pf+pi)μei(pfpi)x

となる。

確率振幅

係数を

Nk=1(2π)3212ωkiNf=1(2π)3212EpfNi=1(2π)3212Epi

とすると、確率振幅は、

Afi=ieNpfNpiNki(pf+pi)μελi,ki,μd4x ei(pfpi)xeikx=ieNpfNpiNki(pf+pi)ελi,ki(2π)4δ(pfpik)

となる。デルタ関数はエネルギー保存則を表している。

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